ユーザーインターフェイス

HDDレコーディングしたテレビ番組の再生方法を60代半ばの母に教えたときのこと。
ある連続ドラマの特定の放送回を再生するのが目的なのだが、HDDレコーダが多機能すぎて目的の放送回になかなか辿りつけない。
「テレビ画面上に映るカーソルを目的の場所に移動して、決定キーを押し、次の階層に進み、さらにカーソルを移動し、決定キーを押し」という、画面対話型の階層インターフェイスになじめない。
母の行動を見ると画面ではなくリモコンのボタンだけを見ている。
そこで「下向きの三角を2回押したら決定キーを押して、再生画面メニューに入り、目的の放送回、今回は9月17日だから下向きの三角を3回おして決定キーで再生されるよ」といったようにリモコンのボタンの操作方法だけで目的の放送回に辿りつけるように教えた。
AV機器の多機能化はユーザーインターフェイスを変化させてきた。リモコンのボタンが多くなったり、ひとつのボタンに多くの機能を割り当てたり、リモコンのボタン数を減らしてテレビ画面との対話型インターフェイスにしたり、などと。
それまで何本ものビデオテープに記録していた連続ドラマはいまや1台のHDDレコーダに記録される。
それまでは放送回のビデオテープをVTRにガチャンと放り込み何も考えずにリモコンの再生ボタンを押せば番組は見られた。いまやテレビ画面とリモコンを見比べながら目的の放送回を探し出してからやっと見ることができる。
ソースは失念したが、ある人はHDDからビデオテープにダビングしてVTRで再生しているらしい。そうする理由は、中断した続きを何も考えずに再生できるから、だそうだ。HDDでもレジューム機能で実現できるが、そのための設定や操作はまたもや画面とリモコンとのにらめっこである。
使いやすいユーザーインターフェイスはHDDレコーダかVTRか。問題はVTRが何時まで生産されるのかということだ。